購買行動モデルはAIDMA→AISAS→SIPSと変化している

消費者が商品やサービスを購入する際の行動いわゆる「購買行動モデル」は、
時代の流れによって「AIDMA→ AISAS→SIPS」と変容しています。

では購買行動モデルとはどういったものか、
AIDMAやAISAS、SIPSとは何なのか詳しく見ていきましょう。

購買行動モデルは消費者の心理や行動を把握するためのもの

購買行動モデルはマーケティングのフレームワークの1つで、
消費者が商品やサービスを購入する際の心理や行動を把握するためのものです。

消費者である我々は、商品やサービスを購入する際に
決まった考え方や行動をしているとは思っていません。

しかし実際には特定の商品やサービスを知ってから興味を持って購入を検討するまで、
ある一定の考え方や行動を無意識の内にしていることが多いのです。

消費者の購買行動モデルを把握することで、商品やサービスを提供する側は
適切なタイミングで適切なPRができるようになるというわけです。

商品やサービスの認知度や売り上げはもちろん企業自体の認知度にも
直接的な影響を与えるので、購買行動モデルを把握することは重要となっています。

ただ何事にも流行り廃りがあるのと同じで、
購買行動モデルも時代によって大きく変わります。

実際にこの数十年で購買行動モデルは大きく変化していますから、
時代に合わせて購買行動モデルを把握しなければいけないのです。

購買行動モデルは時代によって大きく3つに分けられる

購買行動モデルは時代によって
 ・マスメディア時代
 ・インターネット時代
 ・SNS時代
の3つに大きく分けられます。

「マスメディア時代」はTVやラジオ、新聞、雑誌といったマスメディアが
大きな影響力を持っていた時代のことです。

マスメディア時代の購買行動モデルは古典的かつシンプルで、
一部は現代でもマーケティングのフレームワークとして活用されています。

「インターネット時代」はインターネットが一般的に普及したことで、
企業側だけでなく消費者側も情報発信できるようになった時代のことです。

消費者がネットで簡単にネットで情報収集ができるようになり、
TVなどのマスメディアの影響力が相対的に低下しました。

マスメディアよりもインターネットでの情報発信が重要となり、
ネットの口コミや評価も消費者の購買行動に大きな影響を与えるようになっています。

「SNS」時代はまさに現代のことで、
SNSで消費者同士が情報を共有する時代のことです。

マスメディアの影響力が大きく低下してSNSでの情報収集が主流となり、
インフルエンサーと呼ばれる情報発信者の影響力が大きくなっています。

マスメディア時代の購買行動モデル

マスメディア時代の代表的な購買行動モデルは
 ・AIDA
 ・AIDMA
 ・AIDCAS
の3つです。

「AIDA」は「Attention」「Interest」「Desire」「Action」の略で、商品やサービスを知って
興味を持ち、欲しいと思って購入するという消費者の行動を表しています。

非常にシンプルな購買行動モデルで、企業側は商品者の認知・興味・欲求・行動を
喚起するためのPR方法を考えることになるのです。

「AIDMA」は先のAIDAのDesireとActionの間に「Memory」を加えたものです。

AIDMAでは欲しいと思ってもすぐに購入はせず、
商品やサービスが強く印象付けられることで購入という行動に移ります。

認知や興味と同じように記憶、すなわち消費者に商品やサービスのことを
覚えてもらうための施策が重要という考え方です。

「AIDCAS」は先のAIDAに「Conviction」と「Satisfaction」を加えたものです。

欲求の後に「これは自分に必要」という確信(Conviction)を持って購入に至り、
購入後に購入した結果どうなったかを評価(Satisfaction)します。

日用品のような手軽に買えるものではなく、
住宅や自動車など超高額な買い物をする際の購買行動モデルとして用いられました。

AIDMAやAIDCASは現代のマーケティングにおいても購買行動モデルとして
用いられることがあります。

インターネット時代の購買行動モデル

インターネット時代の代表的な購買行動モデルとしては
 ・AISAS
 ・AISCEAS
 ・MOT
の3つが挙げられます。

「AISAS」は「Attention」「Interest」「Search」「Action」「Share」の略で、商品やサービスを
知って興味を持ち、調べて購入して情報を発信する購買行動モデルです。

認知・興味まではマスメディア時代と同じですが、インターネット時代になると
興味を持つと同時にネットで「調べる(Search)」という行動を起こします。

購入した後には、実際に使った商品やサービスの感想や評価をブログなどに
投稿して情報を発信します。

マスメディア時代と違って消費者が簡単に情報を調べられるようになったので、
企業側はネットでの積極的な情報発信が必要となりました。

消費者が情報を発信できるようにもなったことから、過剰な表現や誤解を招く表現を
避ける必要があり、企業側には情報発信の仕方にも変化が求められました。

「AISCEAS」は先のAISASに「Comperison」と「Examination」を加えたものです。

商品やサービスを知って興味を持って調べ、他の商品やサービスと
比較(Comperison)、検討(Examination)して購入という行動に移すということです。

簡単に情報が調べられるようになったことで、
複数の商品やサービスの比較も簡単にできるようになりました。

競合する商品やサービスとの違いや強みをアピールすることが
企業側に求められるようになっているのです。

「MOT」は「Moment of Truth」の略で、マーケティングでは
「消費者が商品やサービスを購入することを決める瞬間」を指します。

MOTには
 ・ZMOT
 ・FMOT
 といった種類があります。

「ZMOT」は「Zero Moment of Truth」で、
来店する前にすでに購入することを決めているという考え方です。

商品やサービスを提供する側からするとゼロの時点で購入を決められるので、
ネットでの事前の情報発信が非常に重要となります。

「FMOT」は「First Moment of Truth」で、
店舗に足を運んでから商品やサービスの購入を決めるという考え方です。

消費者の多くは店頭の商品を3~7秒見て購入の可否を判断しており、
見た目で購買意欲を掻き立てることが求められます。

実際にP&G社は商品パッケージに工夫を加え、店頭でのプロモーションに力を入れて
FMOTを意識することで大幅に売り上げを伸ばしました。

P&G社が結果を出したことなどもあってFMOTを重視する企業が増えましたが、
最近はFMOTよりもZMOTの方が重要という考え方が主流となっています。

SNS時代の購買行動モデル

SNS時代の代表的な購買行動モデルとしては
 ・VISAS
 ・SIPS
 ・ULSSAS
の3つが挙げられます。

「VISAS」は「Viral」「Influence」「Sympathy」「Action」「Share」の略です。

SNSなどの口コミ(Viral)で商品を知って、
口コミの発信者に影響(Influence)を受けて発信者の情報に共感(Sympathy)します。

共感したことで実際に商品を購入(Action)して、
購入した商品についての情報を発信(Share)するという考え方です。

インターネット時代までとは購入という行動を起こすまでのプロセスが全く違っており、
企業側もこれまでとは全く違いアプローチの仕方が求められます。

SNSの口コミが消費者の購買行動を喚起するようになっていますから、
SNSでの情報発信が非常に重要です。

「SIPS」は「Sympathy」「Identify」「Participate」「Share&Spread」の略です。

SNSで発信された情報に共感(Sympathy)して、その情報の信ぴょう性をネットで
確認(Identify)、「いいね」や購入で情報発信のコミュニティに参加(Participate)。

「いいね」したことや購入したことをSNSで発信(Share)、拡散(Spread)することで、
さらに共感の輪が広がっていくことになります。

企業側だけが商品やサービスの宣伝をするのではなく、
消費者も宣伝に参加してもらうことが重要となってきているのです。

「ULSSAS」は「UGC」「Like」「Search 1」「Search 2」「Action」「Spread」の略です。

SNSなどユーザー投稿コンテンツ(UGC)で商品やサービスのことを知り、
その商品やサービスの情報に対して「いいね」(Like)をします。

商品やサービスのことをSNSで検索(Search 1)して、
次にGoogleなどの検索サイトでも検索(Search 2)します。

商品やサービスを購入(Action)、
実際に利用した感想や評価などをSNSで拡散(Spread)するという考え方です。

これまでの購買行動モデルは一直線で、
購入したり購入後に情報を発信することで終わりでした。

しかしULSSASは最後のSpreadが他の人にとってのUGCとなって、
次から次へと購買行動を喚起することになります。

上手くULSSASのサイクルが作れれば、
企業側としては少ない広告費や人件費で大きな成果を得ることも可能です。

まとめ

購買行動モデルは時代の流れによって、
大まかにAIDMA→AISAS→SIPSと移り変わっています。

現状ではSIPSが主流とはなっていますが、AIの普及などで今後も
消費者の購買行動モデルが大きく変わることも十分に考えられます。

企業は社会の流れや最新のトレンドを常時意識して、
消費者の購買行動モデルの変化に対応しなければいけません。