タイムボックスは生産性を上げる方法か?

「生産性の向上」はビジネスにおける最大のテーマですが、
生産性を上げる方法として最近注目されているのが「タイムボックス」です。

ではタイムボックスとはどういったものなのか、タイムボックスを使って
生産性を上げる方法などについて分かりやすく見ていきましょう。

1つ1つの作業に制限時間を設けるのがタイムボックス

タイムボックスは、
簡単に言うと事前に設けた制限時間内に作業を行うという時間の管理方法のことです。

例えば先輩や上司から「明日の会議までに資料をまとめておいて」と
指示されることがありますが、これも1つのタイムボックスです。

「会議に使う資料をまとめる」という作業に「明日まで」という制限時間が
設けられています。

この場合は明日の会議までに資料まとめを終わらせないといけませんが、
タイムボックスでは1つの作業を終わらせる必要はありません。

終わらせる必要が無いと言うよりも、設定した制限時間が来たら完了していなくても
作業を終わらせないといけないのです。

時間が来たら現在取り掛かっている作業を終わらせて次の作業に移る、
を繰り返すのがタイムボックスの考え方です。

フィルタード・ドットコムのCEOであるマーク・ザオ=サンダースが、
あらゆる生産性向上の施策を試してタイムボックスが最も効果的だと結論付けています。
(https://hbr.org/2018/12/how-timeboxing-works-and-why-it-will-make-you-more-productive(英語サイト))

ちなみにフィルタード・ドットコムは、企業スキルや学習コンテンツを理解するための
アルゴリズムを開発する会社です。

制限時間を設けることで作業効率がアップする

1つ1つの作業に制限時間を設けることで作業効率がアップします。

誰しも得手不得手があり、仕事においても得意なものと少し苦手なものがあります。

特に期限が設けられていない時や期限まで余裕がある時には、
得意なものを先に進めて苦手なものを後回しにしてしまいがちです。

期限が近づいてくると苦手なものだけ残っていて、
残業せざるをえなくなるといったことになります。

タイムボックスで1つ1つの作業に制限時間を設けておくと、
得意なものも苦手なものも一定の時間が経過すると作業が終わります。

時間が決まっていれば苦手なものにも取り組みやすくなるので、
結果的に作業効率がアップするいうわけです。

作業に集中できる

タイムボックスで作業に制限時間を設けることで集中力が上がります。

制限時間内に作業を完了させる必要はないものの、
少しでも作業を進めておこうとします。

限られた時間の中で作業を少しでも前に進めようとすると、
余計なものに気を取られずに集中力が上がるのです。

集中力の持続時間には個人差があるものの大体50~90分とされています。
(https://www.cis.kit.ac.jp/~kida/2016/066.pdf)

1つの作業に取り組む時間が長くなればなるほど集中力は下がり、
作業効率も落ちてしまいます。

実際に時間のかかる作業に取り掛かっていると、途中でトイレだの休憩だの
気分転換だの何かと理由をつけて作業を中断することが多いです。

理由をつけて中断するのは作業に集中できていない証拠であり、
そのまま続けても作業は思うように進みません。

時間を区切って次々と作業を変えることで1つ1つの作業への集中力が持続できて、
それぞれの作業効率もアップするというわけです。

細かいところにこだわらない

タイムボックスで作業時間が制限されることで、細かいところにこだわらなくなります。

特に完璧主義者は、
 ・資料の文字が少しズレている
 ・図表の色合いが気に入らない
 ・表現をより的確なものにしようとする
など細かい部分にこだわって、時間が許す限り1つの作業に取り掛かってしまいます。

こだわって仕事をするのは悪いことではありませんが、
細かいところにこだわりすぎるといくら時間があっても仕事が終わりません。

1つ1つの作業に制限時間があることで、
細かいところのこだわらずに良い意味で適当に作業を切り上げられるようになります。

良い意味で適当に作業を切り上げられるようになると、
計画通りに作業が進められて結果的に作業効率がアップするのです。

タイムボックスで生産性を上げる方法

仕事にタイムボックスを取り入れて生産性を上げるには、
まず自分に合った制限時間を決めるところからです。

これまでの経験から自分が集中力を持続できる時間が分かるはずですから、
集中力が持続できる時間よりも少し短めに制限時間を設定すると良いでしょう。

例えば集中力の持続時間が50分だとしたら、
タイムボックスは40分から45分程度にするといった具合です。

苦手な作業に取り掛かる場合は通常より集中力が持続できないこともあるので、
20分から25分程度にしてもOKです。

制限時間が長すぎると集中力が切れますし、
短すぎるとほとんど作業が進まないといったことになってしまいます。

集中力が持続できて、なおかつ作業が進められる適切な時間を見極めて
設定してください。

チームにタイムボックスを導入する場合は、
集中力の持続時間が短い人に合わせて制限時間を決めると良いかもしれません。

やるべきことをピックアップして優先順位をつける

制限時間を制限したら、
次にやるべき作業をピックアップして優先順位をつけていきます。

1日で全ての作業に取り掛かる必要はありませんから、
大体3つぐらいの作業をピックアップします。

例えばA・B・Cという3つの作業をそれぞれ30分の制限時間で行うとすると、
A30分→B30分→C30分→A30分と繰り返すのです。

1つの作業が終わったら次に優先順位の高い作業を組み込む、
という形で進めていくことになります。

タイマーを設定する

タイムボックスを取り入れた当初は、
1つ1つの作業を行う際にタイマーを設定しておくと良いでしょう。

スマホのアラーム機能でも良いですし、
腕時計のアラームでもキッチンタイマーでも何でもOKです。

とにかく制限時間が経過したことをアラームで知らせてくれるものなら何でも構いません。

タイムボックスを使った働き方に慣れてくると、
タイマーが無くても制限時間ごとに作業を切り替えられるようになります。

しかしタイムボックスを取り入れたばかりの頃は、
時間の感覚が体に染みついていないので作業途中で時計に目が行ってしまいます。

時間を気にすると集中力が削がれて作業効率が落ちますから、
アラームが鳴るまで作業に集中するのです。

作業中はスマホをサイレントモードにしておく

タイムボックスを取り入れて仕事をする場合、
作業中はスマホをサイレントモードにしておくのが望ましいです。

スマホの通知音が聞こえると気になって集中力が落ちてしまいますから、
少なくとも通知音はオフにしておきましょう。

電話は出ないと仕事に支障が出ることもあるでしょうから仕方ありませんが、
可能なら作業中はスマホの電源を切っておくのがベターです。

1つの作業が終わって次の作業に取り掛かるまでの間に、
必要であれば折り返し電話をかけるメールを送るといったことを行います。

作業の間には休憩を挟む

休憩も生産性を上げるのには必要な要素ですから、
作業と作業の間には必ず短い休憩を挟まないといけません。

先にも書いたように、
時間が長くなればなるほど作業効率が落ちるので生産性も上がらなくなります。

タイムボックスで1つ1つの作業に制限時間を設けても、
間に休憩が無いと続けて作業しているのと同じことになるのです。

数十分作業するごとに休憩するというのは非効率に思えますが、
休憩することで逆に作業効率が上がります。
(https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/224243/1/1966-03.pdf)

ただし休憩時間が長くなると作業効率が落ちてしまいますから、
せいぜい5分から10分程度の小休憩を挟みましょう。

1日の作業が終わったら進捗状況を確認する

タイムボックスを使って仕事をする場合は、
1日の作業がすべて終了したらその日の進捗状況の確認を行います。

通常はプロジェクト終了など大きな区切りで作業を振り返ることはありますが、
1日の作業を振り返ることはあまりありません。

タイムボックスを取り入れて生産性を上げるには、
最適な制限時間の設定が欠かせません。

1日の作業を振り返って進捗状況を確認し、
1つ1つの作業の制限時間が最適なものかどうかを検討するのです。

思ったより作業が進んでいなければ制限時間を少し伸ばす、
途中で集中力が切れたと感じたら制限時間を短くするといった調整を行います。

1日という短い単位で進捗状況を確認することで、
計画通りに作業が進めやすくなって結果的に生産性が上がります。

まとめ

タイムボックスは1つ1つの作業に制限時間を設ける管理方法です。

多くのビジネスパーソンは、
1つ1つの作業を決まった期限までに終わらせるという形で仕事をしています。

大きく見るとほとんどのビジネスパーソンがすでにタイムボックスを取り入れているので、
難しく考える必要はありません。

またタイムボックスは仕事以外にも利用できますから、時間の使い方が下手な人は
タイムボックスを取り入れることでプライベートも充実させられます。