ターゲティングでコミュニケーション方法が決まる、本当です

マーケティングにおいては「ターゲティングでコミュニケーション方法が決まる」と言われています。

ではターゲティングでコミュニケーション方法が決まるとはどういうことなのか、
そもそもターゲティングとは何なのかなどできるだけわかりやすく見ていきましょう。

ターゲティングはターゲットを定めること

マーケティングにおけるターゲティングとは、
自社や自社の製品・サービスのターゲットとなる顧客層を定めることです。

かつての大量生産大量消費の時代は、
特にターゲットを定めずにあらゆる層にアプローチしていました。

しかしニーズや購買行動が多様化している現在では、
ターゲットを定めないと「どの層にもアプローチできない」ことになってしまいます。

自社の製品・サービスをどういった人に使ってもらいたいかをターゲティングで
明確にしておかないと、使ってもらいたい人に使ってもらえないことになるのです。

ターゲティングで顧客とのコミュニケーション方法が決まる

マーケティングにおいて「ターゲティングでコミュニケーション方法が決まる」
と言われるのは、顧客とのコミュニケーション方法が決まるということです。

ニーズや購買行動が多様化していると同時に、
インターネットが広く普及した現在では広告媒体も多様化しています。

インターネットが普及する前の広告媒体と言えば、
新聞やテレビといったマスメディアが中心でした。

新聞やテレビは現在も有効な広告媒体の1つですが、
現在はWebサイト・SNSなどのネットコンテンツも有効な広告媒体となっています。

特に10代・20代の若い世代ではマスメディア離れが進んでおり、若い世代を
ターゲットにする場合はマスメディアでの宣伝は効果的とは言えなくなってきています。
(https://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php)
(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242510.html)

ネットコンテンツからトレンドが生み出されていることも多くなっており、
広告を出稿する媒体選びも重要となっているのです。

年齢の高い層にはまだまだ新聞やテレビが有効な広告媒体ですが、
若い層にアピールするにはネットコンテンツの方が広告を出す方が有効です。

どの媒体に広告を出すのかはターゲティングで決まります。

広告は製品やサービスを提供する企業と顧客とのコミュニケーションの1つですから、
ターゲティングで顧客とのコミュニケーション方法が決まると言われるわけです。

ターゲティングを行うにはセグメンテーションが必要

マーケティングにおけるターゲティングを行うには、
その前にまず「セグメンテーション」を行わなければいけません。

セグメンテーションは日本語では「区分」を意味し、
マーケティングにおいては顧客を一定の条件で分類することを示しています。

性別や年齢、職業、収入、居住地域、製品やサービスに対するニーズ、購買行動など
複数の条件を組み合わせて顧客をいくつかのグループに分類します。

例えば、ある大手化粧品会社は女性化粧品の顧客層を
 ・15~17歳 疑似ユーザー期
 ・18~24歳 ヘビーユーザー期
 ・25~34歳 ユーザー下降期
 ・35~54歳 転換期
 ・55歳以上 シルバー期
と分類して、それぞれの顧客層にあった製品の開発とアプローチを行っているのです。

上記は性別と年齢だけですが、
実際には他の条件をいくつか組み合わせて細かくグループ分けしています。

分類した顧客グループの中から、
メインとなる顧客層を定めるのがターゲティングの作業です。

セグメンテーションをキッチリしておかないと、
いくらターゲティングを丁寧に行ってもアプローチの焦点が定まりません。

ターゲティングの6R

セグメンテーションで顧客を分類したらターゲティングで
メインとなる顧客層を定めるのですが、その際に「6R」を活用します。

6Rは6つの要素の頭文字を取ったもので、ターゲティングのフレームワークの1つです。

1つ目のRは「Realistic scale(市場規模)」です。

セグメンテーションで分類した顧客層の市場規模が、
自社や自社の製品・サービスのターゲットとして適当であるかを検討します。

主観だと市場規模を読み間違えるので、人口動態統計など中央省庁や業界団体
などが公表している客観的なデータから市場規模を推計するのが望ましいです。

市場規模が大きければ大きいほど多くの売り上げが期待できますが、
同時に競合する企業や製品・サービスの数も増えます。

類似の企業や製品・サービスに埋もれないように差別化が求められますし、
埋没した場合には市場から撤退を迫られるリスクもあります。

市場規模が小さいと競合の数は減るので、差別化はそれほど必要なく、
埋没によって存在感を失って撤退を迫られるリスクも低いです。

しかし元々の市場規模が小さいですから、
市場を独占するといったところまで行かない限りは多くの売り上げは見込めません。

どの程度売り上げが見込めるのかと競合の数・撤退などのリスクのバランスを考えて、
どこをメインターゲットとするか検討しなければならないのです。

成長が見込める市場を見極める

2つ目のRは「Rate of growth(成長性)」です。

セグメンテーションで分類したそれぞれの顧客層に、
今後どれだけの成長が見込めるのかを見極めることになります。

現状で市場規模が大きくて成長が見込めないと、早晩市場規模は縮小していきます。

元々の市場規模が大きいので競合も多く、
将来的には少ないパイを多くの競合と奪い合うことになるのです。

将来性が見込めない市場をターゲットにすると、
近い内に現状よりも苛烈な過当競争を迫られることも十分に考えられます。

反対に現状で市場規模が小さくても成長が見込めるなら、
今後市場規模は大きくなっていきます。

規模が小さくて競合が少ない内から市場に参入しておくことで、顧客には「定番」と
認識されて市場規模が大きくなっても生き残れる可能性が高くなるのです。

成長性の見極めにも主観が入るのは良くありませんから、
「Googleトレンド」などの客観的なデータを元に市場の将来性を見極めましょう。
(https://trends.google.co.jp/trends/)

製品やサービスに対する関心や波及効果を測る

3つ目のRは「Rank(優先順位)/Ripple effect(波及効果)」です。

分類したそれぞれの顧客層が、
自社や自社の製品・サービスにどの程度関心を持っているかということです。

それからターゲットとする市場に自社が参入した場合に、
顧客や競合他店にどのような影響を与えるのかを測ります。

既に一定の顧客が存在する場合は、
どういった層が自社に関心を持っているかは客観的なデータで把握できるはずです。

また市場内の競合他社に関心を持っているのはどういう層かを調査することでも、
自社に関心を持ってくれるであろう層が見えてきます。

それぞれの顧客層の中で、
自社や自社の製品・サービスがどのように広がっていくのかも考えなければいけません。

例えばインフルエンサーのような存在が居る市場では、
インフルエンサーを中心に良し悪し問わずトレンドが広がっていきます。

インフルエンサーのような市場内で影響力を持つ存在に、
どのようにアプローチするのかも考える必要があります。

競合他社の分析

4つ目のRは「Rival(競合)」です。

これからターゲットとなる市場には既に先行して参入している競合が居るはずですから、
その競合の状況を分析するわけです。

どういった競合がどの程度の数居るのか、
市場内でどういった競争を繰り広げているのかなどを分析します。

基本的には競合の少ない市場を狙うのが望ましいですが、
競合の少ない市場では寡占状態になっていることも考えられます。

例えば競合は3つしかないけど、
それぞれが30%以上のシェアを持っている市場だと入り込む余地がありません。

競合の少ない市場は参入ハードルが高くなっていることも考えられるので、
どういった競争が行われているのかを分析することも重要です。

市場に手が届くか、顧客の手が届くか

5つ目のRは「Reach(到達の可能性)」です。

ターゲットにしようとしている市場が自社の手が届くものであるかを分析します。

例えば、高所得者層向けに高価格帯の製品・サービスを提供したいが、
現状で高所得者層の認知度低いと売り上げを伸ばすまでにかなり時間がかかります。

また高価格帯の製品・サービスを安定して提供できる体制が整っていなければ、
売り上げを伸ばすことは難しいです。

市場に参入できる準備が整っているか、
自社の手が届く市場であるかを見極めることが重要となります。

もう1つは顧客が自社の製品・サービスに手が届くかです。

例えば、高価格帯の製品・サービスを手が届きにくい比較的所得の低い若年層が
多い市場に投入しても売り上げは見込めません。

ネットをあまり使わない高齢者向けの製品・サービスを、
ネットでのみ販売してもやはり売り上げは見込めないです。

製品・サービスの価格帯や販売方法をターゲットに適したものにできるかを検討します。

広告の効果の測定

最後6つ目のRは「Response(測定可能性)」です。

メインとなるターゲットにアプローチした結果、
その施策がどの程度効果を発揮したのかを測定できるかどうかということです。

例えば若者向けにSNSに出稿した広告の効果がどの程度あったか分からないと、
SNSに広告を出稿するという施策の評価ができません。

SNSに広告を出稿するなら、SNSの分析や自社ホームページのアクセス解析が
できる体制が整っているのかを考えるのです。

また自社の製品・サービスの利用者を対象に広告の効果を聞き取るアンケート調査を
行うなど、効果を測定する方法も考えることになります。

まとめ

ターゲティングはメインで狙う顧客層を定める作業で、
ターゲティングによって宣伝の仕方が決まります。

広告を出すなど宣伝は企業と顧客とのコミュニケーション方法の1つですから、
ターゲティングでコミュニケーション方法がというわけです。

自社の将来を左右することにもなりますから、
ぜひ的確なターゲティングを行ってください。