KGIとKPIって同じじゃないの?違いは何?

会議で「まずこのプロジェクトの『KGI』を設定して、それを達成するための『KPI』を
考えよう」などと言われて頭に「?」が並んでいる人も多いかもしれません。

ではビジネスにおけるKPI・KGIとは何なのか、
どういった違いがあるのかなどできるだけわかりやすく見ていきましょう。

KGIは最終的な事業目標

KGIは「Key Goal Indicator」の頭文字を取ったもので、
日本語に訳すと「経営目標達成指標」となります。
(https://www.elite-network.co.jp/dictionary/kgi.html)

もっと簡単に言うと、
その事業を行うに当たってどうなると「成果があった」と評価するための指標のことです。

KGIは指標なので
 ・売り上げ高
 ・利益率
 ・成約件数
など数値で表されるものを設定するのが一般的です。

ビジネスに限らずどんなことでも最終的な目標を設定しておかないと、
どのぐらい成果が上がったか、成果を上げるのに何が必要かがわかりません。

また複数人で事業に取り掛かる場合、人それぞれ「成果があった」と評価するレベルが
違うため取り組み方に差が生じる恐れもあります。

KGIを設定しておくことで、関わる人全員が最終目標を共有できますし、
現状で事業がどの程度進んでいるかもわかりやすくなるのです。

事前の計画通りに進んでいない場合には、
KGIがあることで問題点が可視化されやすく、対策や措置も講じやすくなります。

KPIは中間目標

KPIは「Key Performance Indicator」の頭文字を取ったもので、
日本語に訳すと「重要業績評価指標」です。
(https://www.synergy-marketing.co.jp/glossary/kpi/)

最終目標であるKGIに対してKPIは中間目標です。

要するに、KGIを達成するために必要なことがどの程度進んでいるのかを表す
指標ということです。

例えばKGIが「売上○%アップ」だとすると、売り上げアップに必要な
「顧客数を増やす」「客単価を上げる」などをKPIとして設定します。

知らない場所へ出かける場合、地図もナビも無いと目的地まで
どうやって行けば良いかわかりませんし、どのぐらい時間がかかるかもわかりません。

地図やナビで目印となる建物、途中で休憩できる場所などを確認して
ルートを決めておくことで、目的地までどのぐらい時間がかかるかが見えてきます。

また実際にスタートしてからも、事前にルートを決めておくことで
目的地までどのぐらい近づいているかもわかりやすくなります。

それと同じで、ビジネスでもKPIという道しるべを設定しておいて、
KGIという最終的な目標までのルートを明確にしておくわけです。

KGIとKPIの違い

KGIは最終目標ですから結果を評価する指標、
KPIは中間目標なので過程を評価する指標というのが大きな違いです。

もう1つ、最終的な目標であるKGIは基本的に1つであるのに対して
中間目標であるKPIは複数存在するという違いもあります。

KGIを複数設定すると、事業を進めるべき方向が定まらず、
事業を進める上での作業も非効率となってしまいます。

事業に関わる人が向いている方向もバラバラになり、
複数のKGIのどれも達成できないといったことになりかねないのです。

最終目標を1つに絞ることで方向性が定まって、効率的に事業が進められます。

最終目標は1つですが、
その最終目標を達成するために必要なことは1つではありません。

例えば飲食店で「お客さんの数を増やす」というKGIを設定したとします。

お客さんを増やすにはお店の知名度を上げないといけないので、
チラシやホームページ、SNSなどで積極的に宣伝を行います。

何度も来店してもらえるようにメニュー数を増やしたりポイントカードを導入したり、
お店の内装やレイアウトを変更するといったことも必要です。

「知名度を上げる」「メニュー数を増やす」といったことがKGIを達成するために
必要な中間目標となるので、KPIは複数設定することになるというわけです。

KGIとKPIの設定は「SMART」に

KGIやKPIの設定では「SMART」であることが重要となります。

賢いや洗練されたなど文字通りの意味ではなく
 ・Specific(具体性)
 ・Measurable(計量性)
 ・Achievable(達成可能性)
 ・Relevance(関連性)
 ・Time-bound(期限)
の5つを意識して設定することが重要という意味です。

KGIもKPIも指標ですから、
具体性(Specific)を持った計量性(Measurable)のある数値でなければいけません。

例えば「売り上げ」なら「○%アップ」、
経費削減なら「○○円削減」といったように明確な数値を設定します。

具体的な数値を示すことで、現状どの程度達成できているか、
達成するためには何をしなければならないかがわかりやすくなります。

目標は達成できなければ設定する意味がないので、
KGIもKPIも達成可能(Achievable)なものでなければいけません。

例えば、この数年の売り上げが数%の上下で推移しているのに、
KGIが「売り上げ50%アップ」では達成できる可能性はゼロに近いです。

達成できそうもないKGIやKPIを設定すると、
事業に関わる人のモチベーションをかえって下げてしまうことになります。

簡単に達成できる低すぎる目標もダメですが、
KGIもKPIも頑張れば達成できるぐらいのものにしておかないといけないのです。

KPIはKGIと関連性(Relevance)が無いといけませんし、
KGIは企業の理念やビジョンと関連性がなければいけません。

KPIはKGIを達成するのに必要なものとして設定するわけですから、
KGI達成と関連しないことをKPIとして設定しても意味がないです。

また企業の理念やビジョンと関連しないKGIを設定すると、
理念やビジョンとKGIどちらを優先すべきか迷ってしまいます。

あくまでKPIはKGIを達成するためのものであり、
KGIは企業の理念やビジョンを実現化するためのものです。

目標と期限(Time-bound)はセットですから、
KGIやKPIを設定する際は期限も設定しておきましょう。

期限を設定しておかないと、「別にすぐに取り掛からなくも良いや」となって
事業がいつまで経っても前に進みません。

KGIやKPIを設定したこと自体がうやむやになってしまいますから、
KGIやKPIを設定する際は期限も決めておかないといけないのです。

KGIやKPIの具体的な設定方法

飲食店を例にKGIとKPIの具体的な設定方法を見てみます。

近年の売り上げ推移からKGIを「売り上げ10%アップ」に設定したとします。

売り上げを10%アップさせるには、
「お客さんの数を増やす」「客単価を上げる」といったことが必要です。

数を増やす・単価を上げるでは曖昧なので、KPIとして設定する場合には
「客数の20%増」「客単価500円アップ」などといった形になるのです。

次に客数を20%アップさせるには、「新規客を増やすこと」に加えて
「リピーターを増やすこと」が必要ですから、それぞれ10%アップを目指します。

新規客を増やすにはお店の知名度を上げる必要があるので、
「チラシを配る」「SNSで情報を発信する」といった施策を行います。

チラシを配る・SNSで情報を発信するをKPIとして設定する場合、
「チラシを100枚配る」「SNSを週5回更新する」といった形ではダメです。

チラシを何枚配る・SNSを何回更新するは単なる行動目標で、
行動することでどういった成果を上げるのかがKPIとなります。

例えばチラシを配るのであれば「チラシを見た来店客を週5人増やす」、
SNSなら「閲覧数10%アップ」「いいねを○件以上獲得」といった形でKPIとするのです。

新規客を増やすと同時リピーターを増やすことも重要で、
リピーターを増やすためには複数回来店してもらう動機付けが必要です。

リピーターを増やす施策としては、
「メニューを増やす」「ポイントカードを作る」などといったことが挙げられます。

これだと曖昧なので、「考案した新メニューの注文数○件」や
「新たにポイントカードを作る人を10人増やす」といった形でKPIとします。

新メニューの注文数やポイントカードを作る人を増やすには、
勧め方など接客方法も考え直さないといけません。

接客についてはアンケートを実施して、
「高評価を○件以上獲得」や「クレームを○件減らす」などのKPIを設定します。

KGIを達成するには何が必要か、
その必要なことには何が必要といったようにKGIから逆算してKPIを考えましょう。

まとめ

KGIは最終的な目標で基本的に1つ、
KPIはKGIを達成するための中間目標で複数設定するといった違いがあります。

KGI・KPIを設定することで方向性ややるべきことが明確になり、
事業を効率的に進められるようになります。

ただし設定を間違えると、
かえって方向性を見失って非効率となってしまうので注意してください。