AIDMAモデルを理解すればマーケティングが変わる

消費者の購買行動プロセスのフレームワークの1つである「AIDMAモデル」、
AIDMAモデルを活用したマーケテイング施策が行われることも少なくありません。

ではAIDMAモデルとはどういったものなのか、他にも購買行動プロセスの
フレームワークはあるのかなどについてできるだけわかりやすくお話しましょう。

AIDMAモデルは消費者がモノを購入するまでの心理・行動プロセス

AIDMAモデルは消費者が製品やサービスを購入・利用するまでの
心理や行動のプロセスを表したものです。

1924年にアメリカの著述家であるサミュエル・ローランド・ホールが、
「Retail Advertising and Selling」の中でAIDMAモデルを提唱しました。
(https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003143082)

約100年前に提唱されたモデルですが、
現在でもAIDMAモデルに沿ったマーケティング施策が行われています。

AIDMAモデルは
 1.Attention(認知、注目)
 2.Interest(興味、関心)
 3.Desire(欲求)
 4.Memory(記憶)
 5.Action(行動)
といった流れが消費者の典型的な購買行動であることを表しているのです。

まず製品やサービスのことを知って、
情報に触れることで製品やサービスに興味や関心を持ち始めます。

興味や関心を持つことで「使ってみたい」という欲求が生まれ、その製品やサービスを
記憶に留め、最終的に購入・申し込みといった行動に移すわけです。

個人や製品やサービスの種類によって多少変わることもありますが、実際にこうした
プロセスで製品やサービスを購入・利用していることも多いのではないでしょうか。

消費者にとってはAIDMAモデルのどの段階にあるかで、
製品やサービスについての欲しい情報が変わります。

適切なタイミングで適切な情報が提供されることで、
消費者はその製品やサービスを購入・利用してくれるのです。

提供する側からすると、自社の製品やサービスが商品者にとって
AIDMAモデルのどの段階にあるのかを見極めることが重要となります。

AIDMAモデルのそれぞれの段階に見合ったマーケティング施策を行うことで、
製品やサービスの売り上げがアップする可能性があるというわけです。

AIDMAモデルの各段階で行うべき必要な施策

自社の製品やサービスが消費者にとってAIDMAモデルのどの段階にあるかで、
行うべきマーケティング施策が違ってきます。

AIDMAモデルの最初のA、注目・認知の段階では消費者の多くは
自社の製品やサービスの存在自体を知りません。

存在自体を知られていないわけですから、最初のAの段階では多くの消費者に
自社の製品やサービスを「知ってもらうこと」が第一の目標となります。

知ってもらうためには、
多くの人の目に触れるメディアに宣伝・広告を出すのが効率的です。

費用はかかりますがテレビでCMを流したり、新聞や雑誌に広告を出稿したり、
最近ならネット広告を出すのも認知度を上げる施策となります。

またSNSやネット動画がきっかけで「バズる」こともあるので、
SNSやYouTube・TikTokで情報を発信することも認知度アップの効果が見込めます。

性別や年齢などによってよく目にするメディアが違いますから、宣伝・広告の前に
製品やサービスのターゲット層がどこにあるのかを明確にしておく必要もあります。

興味や関心を持ってもらうための施策

宣伝・広告によって製品やサービスの認知度が上がったら、
次はAIDMAモデルのI、興味や関心を持ってもらう段階です。

製品やサービスのことを知っていても興味や関心が無ければ「使ってみたい」とは
なりませんから、購入・利用といった行動には繋がりません。

製品やサービスについて興味・関心を持ってもらうには、
製品やサービスの内容を「理解してもらうこと」が必要となります。

最初の認知度を上げる段階では、製品やサービスの名前を大々的にアピールします。

ある程度認知度が上がって興味や関心を持ってもらう段階になったら、
製品やサービスの内容をホームページなどでアピールしていくのです。

この製品やサービスはどんな時に利用するものなのか、利用することでどんな効果が
得られるのか自分がどのように変われるのかといったことをアピールします。

消費者に内容を理解してもらうことで、その製品やサービスが
「自分に関係があるもの」と思ってもらえて興味や関心を持ってもらえるようになります。

欲求を喚起するための施策

製品やサービスに消費者が興味・関心を持ち始めたら、
次はAIDMAモデルのD、「使ってみたい」という欲求を引き起こす段階です。

世の中には「存在は知っているし内容もある程度理解しているけど、
使ってみたいとは思わない」製品やサービスがたくさんあります。

実際に購入・利用してもらうためには、内容を理解した上で製品やサービスを
「使ってみたい」と思ってもらう必要があるのです。

消費者の「使ってみたい」という欲求を喚起させるためには、
実際に使ってもらうことも有効です。

化粧品やサプリメントなどであればネットや店頭で試供品を配り、
実際に使ってもらって有用性を感じてもらいます。

エステなどのサービスだと無料モニターを募集したり、
格安の体験メニューを用意して一度サービスを体験してもらうのも1つの方法です。

消費者の欲求を喚起するには、
競合する製品やサービスよりも優位であることをアピールする方法もあります。

ホームページに競合する製品やサービスとの比較表を掲載して、
自社の製品やサービスの方が優位であることをアピールするのです。

内容で優位性をアピールするのが難しい場合は、期間限定のセールで
大幅値引きを行って価格の優位性をアピールするのも良いでしょう。

記憶に留めてもらうための施策

「使ってみたい」という欲求を喚起したら、次はAIDMAモデルのM、
製品やサービスを記憶に留めてもらう段階です。

瞬間的に「使ってみたい」と思っても、
すぐに製品やサービスのことを忘れてしまっては購入・利用という行動に繋がりません。

消費者に製品やサービスを記憶してもらうためには、
頻繁に情報に触れてもらうことが必要です。

例えばコンビニに行ったときに、以前に「食べてみたい」と思ったけど
直近では忘れていたスイーツが置いてあるのを目にしたとします。

「そういえばこのスイーツ食べてみたいと思ってたんだ」と、
欲求が喚起された製品であることを思い出します。

それが何度か続くと、「今度コンビニに行ったらあのスイーツ買ってみよう」となるのです。

記憶に留めてもらうために有効な施策としては、
最近だと「リターゲティング広告」が挙げられます。

いわゆるネット広告のことで、
Webサイトを閲覧していると画面の左右などに表示される広告です。

この広告はランダムに表示されているわけではなく、閲覧者の閲覧履歴や検索履歴を
元に興味があると思われる広告が表示されるようになっています。

「使ってみたい」という欲求が喚起されると何度が製品やサービスについて
検索しているはずですし、ホームページを見ている可能性もあります。

Googleなどにリターゲティング広告を出しておけば、
繰り返し広告を目にして消費者の記憶に製品やサービスが留まるのです。

購入を促す施策

製品やサービスを記憶に留めてもらったら、AIDMAモデルの最後のA、
購入という行動に移してもらう段階です。

製品やサービスを実際に購入してもらうためには、
消費者が購入しやすい環境を整えることが重要となります。

ネットでも実店舗でも購入できるようにする、クレジットカード・銀行振込・
コンビニ決済などあらゆる支払方法に対応するなどといったことです。

期間限定で割引セールを行う、
購入者特典を付けるといったことも消費者の購入を促すのに有効です。

一度購入したら終わりではなく、継続して購入してもらうために
次回購入時に利用できるクーポンを配るのも良いでしょう。

AIDMAモデルはもう古い?

AIDMAモデルは現在でも有効なフレームワークですが、
さすがに100年前に提唱されたもので現代の消費者には合わないケースもあります。

AIDMAモデルに代わる購買行動プロセスのフレームワークとして
注目されているのが「AISASモデル」です。

認知・注目(Attention)して興味・関心(Interest)を持つところまでは
AIDMAモデルと同じですが、次の段階が欲求ではなく検索(Search)となります。

ネット全盛の現代では、製品やサービスに興味・関心を持ったら
即ネットで情報を検索するのが一般的な消費者の行動なのです。

検索して情報を収集したら購入という行動(Action)に移し、
最後にSNSなどで利用した感想などを発信して多くの人と情報を共有(Share)します。

購買行動プロセスにネット利用が大きく関わってきているので、
AISASモデルでは提供する側にもネット対応が求められるのです。

AISASモデル以外にも、
 ・高額商品の購買行動プロセス「AIDCA」(記憶の代わりに確信が入る)
 ・体験を重視した「AIDEES」(行動の代わりに体験と熱中、最後に共有が入る)
 ・SNSの繋がりから購入に移るSIPS(共感、確認、参加、共有と拡散)
などの購買行動プロセスも提唱されています。

まとめ

AIDMAモデルは消費者の典型的な購買行動プロセスを表したフレームワークです。

それぞれの段階で適した施策を行うことで、
消費者に製品やサービスの購入を促すことができます。

ただAIDMAモデルは100年前に提唱されたもので、
現在の消費者の購買行動とは合っていない部分も出てきています。

AISASモデルなど新しいフレームワークも提唱されていますから、
自社や製品やサービスに合ったフレームワークを探してみてください。