世の中には同じ業種で競合するお店がたくさんあり、
「独自の強み」を打ち出さないことには生き残れません。
しかし独自の強みを打ち出そうにも、
自店の強みが何なのか分かっていないケースも多いのではないでしょうか?
お店独自の強みとは
長く生き残っているお店が持っている独自の強みとして代表的ものが「ストーリー」です。
お客さんにとってはいつも通っている道路沿いにいきなり新しいお店が現れますが、
そこにお店ができるまでには必ず物語があります。
日本人は「お店ができた」という結果はもちろんのこと、
「お店ができるまで」のプロセスにも強い興味を抱きます。
現在のお店を持つまでにオーナーさんは、
大いに悩み迷って、色んな苦労、大きな決断をしたはずです。
たとえチェーン店であってもまったく同じ経緯でお店ができることはありませんから、
お店の数だけストーリーがあり、それが独自の強みとなるのです。
例えば牛丼の「吉野家」は公式サイトに歴史を掲載しています。
(https://www.yoshinoya.com/history/)
吉野家は一度倒産する憂き目にも遭っていますが、
そのことも含めて創業から現在までの歴史が公式サイトに掲載されています。
一度隆盛を極めたところから倒産するまで経営が悪化、そこから立て直して
また業界のトップに登り詰めるというストーリーは吉野家にしかありません。
ストーリーから共感・感動を得て、
多くの牛丼チェーンから吉野家を選ぶことになるわけです。
自店にしかないオリジナリティ
自店にしかないオリジナリティは、決して他店が真似できない独自の強みとなります。
飲食店であれば「味」、アパレルショップなら「おしゃれ感」を売りにすることがありますが、
これらは他店も真似しようと思えばできてしまいます。
また味やおしゃれの好みは人それぞれですから、
味やおしゃれでオンリーワンになることは難しいです。
しかし味やおしゃれを売りにするのでも、そのお店でしか味わえない味や
おしゃれ感であれば他店に真似できないオリジナリティのある強みとなります。
例えば、東京にある老舗のうなぎ屋「うなぎ はし本」は
1835年の創業以来ずっと同じ場所にお店があります。
(https://www.unagi-hashimoto.jp/history.html)
またうなぎのタレは創業以来同じ原料、同じ製法で継ぎ足し作られているのです。
150年以上の歴史があること、ずっと同じ場所で営業していること、
創業以来同じ味を守り続けていることは他店が真似したくてもできない独自の強みです。
もう1つ、スターバックスコーヒーの太宰府天満宮表参道店は、
国立競技場を手がけたことでも有名な隈研吾氏が設計した建物に入っています。
(https://store.starbucks.co.jp/detail-1058/)
隈研吾氏が設計した建物はどこにでもあるわけではないですし、
新たに設計してもらうことも簡単ではありません。
同じコーヒーを飲むなら有名建築家が手がけた建物の方が風情が感じられますから、
このケースはお店の建物自体が独自の強みとなっています。
お店の立地条件が独自の強みになることも
建物自体は平凡でも、
建物が建っている場所がお店独自の強みとなることもあるのです。
例えば、幹線道路沿いの駐車場完備のお店は「車で利用しやすいこと」が
独自とは言えないまでも大きな強みとなります。
特にお客さんが購入した商品を持って帰るタイプのお店だと、
荷物を持って歩く必要が無いのは大きなメリットです。
また駅中や駅近にお店があることも、独自とは言えないものの大きな強みとなります。
電車で通勤通学するなど、
駅を日常的に利用している人にとっては駅中や駅近にあるお店は利用しやすいです。
独自の強みとなるお店の立地条件で一般的なのが「景色が良い」というものです。
窓やテラス席から絶景が見られるお店は、
どんなジャンルのお店でもたくさんのお客さんが訪れます。
例えば神奈川県の七里ヶ浜にあるレストラン「Amalfi Della Sera」は、
テラス席からの眺望を売りにしています。
(https://amalfi-dellasera.com/)
正面には湘南の海が広がり、左には葉山海岸や三崎灯台、
右には江ノ島、富士山が見えるという180度パノラマの絶景です。
自然の景色は角度が少し変わるだけで見え方が変わるので、この景色は
Amalfi Della Seraのテラス席からしか見られない独自の強みとなっているのです。
もう1つ、東京にある「ニューヨークグリル」というお店は、
窓からの景色と映画のロケ地になったことが独自の強みです。
(https://restaurants.tokyo.park.hyatt.co.jp/nyg.html)
パークハイアット東京の52階に入っているお店で、窓からは東京の街が一望できます。
また「ロスト・イン・トランスレーション」という映画のロケ地にもなっており、
さながら映画の出演者になった気分で食事が楽しめるのです。
景色などの立地条件はお店側の努力だけではどうにもならないですから、
他店が真似できない独自の強みとなりえます。
時間帯によって違う顔を持つ
時間帯によって違う顔を持つ、
いわゆる二毛作営業を行っていることもお店独自の強みとなります。
二毛作営業は簡単に言うと昼と夜で違うジャンルのお店を出すことです。
1人のオーナーが昼のお店も夜のお店も経営していることもあれば、
2人のオーナーで昼と夜で全く別のお店として営業していることもあります。
行きつけの飲み屋さんがランチもやっていると聞くと、
夜飲みに行くだけでなく昼のランチも食べてみたくなります。
同じ店でもメニューが違うだけで興味が引かれますから、
昼と夜で全く違うお店になると一度は足を運んでみたくなるものです。
カスタマーズディライトという会社が運営している「やきとり筑前屋」の東陽町店が
二毛作営業を行っています。
(https://www.cs-delight.co.jp/business/shop02/)
夜はやきとり筑前屋で、昼は中華そばの満鶏軒というお店になります。
生活圏内にこのお店があれば、昼の中華そばも食べたいですし夜のやきとりも
食べてみたいですから、少なくとも2回はお店を訪れることになるのです。
愛知県半田市にある「Cafe konya(カフェ コンヤ)」は、
二毛作営業を超える朝・昼・夜で顔を変えるお店となっています。
(https://www.instagram.com/cafe_konya/)
朝はモーニングメニュー、昼はランチメニュー、夜にはお酒とお酒にあるお料理を
提供しています。
時間帯によってメニューが変わるだけなら珍しくありませんが、
Cafe konyaは朝・昼・夜でそれぞれ別の店長が営業を行っているのです。
同じCafe konyaでも店長が変わるとお店の雰囲気が変わりますから、
一度行くと違う時間帯にも行きたくなります。
常連さんにお店独自の強みを聞いてみる
ストーリーやオリジナリティなどお店独自の強みが見つからないといった場合は、
お店に来るお客さんに聞いてみるのも1つの方法です。
特に常連さんが居るのであれば、
常連さんに「なぜこの店を選んでくれたのか」を聞いてみましょう。
お店側にとっては当たり前すぎることも、
お客さん側にとっては大きなメリットとなっていることもあります。
お客さん目線で考えないとわからない強みもありますから、
お客さんに自店の強みを聞いてみるのも有効な手段なのです。
お店独自の強みをアピールする際の注意点
お店独自の強みが見つかったら、
ホームページなどで大々的にアピールすることになります。
ただ闇雲にアピールすれば良いというものではなく、
独自の強みをアピールする際には注意しなければならないことがいくつかあります。
1つは「自店の強みをアピールするのに他店を貶めない」ということです。
自店の強みをアピールしたいがために、競合他店と比べて
「あの店よりここが優れている」「この店よりこっちが上」とやってしまいがちです。
競合他店を貶めると、競合他店で働く人だけでなく競合他店を利用しているお客さんも
貶めることになってしまいます。
他店を貶めて自店の強みをアピールするのはモラルに欠ける行為であり、
新規客が増えないばかりか利用客が減ってしまう恐れがあります。
もう1つは「他店の強みを認める」ということです。
競合他店には競合他店なりの独自の強みがあり、
それをホームページなどでアピールしています。
競合他店を引き合いに出すのであれば、「あのお店はここが素晴らしいけど、
ウチはこれならどこにも負けない」と形でアピールしましょう。
自店の強みをアピールする際に他店を貶めるのではなく認めることで、
敵を作らずに済むのです。
まとめ
独自の強みを打ち出すことができれば、お客さんにたくさんある同じジャンルの
お店の中から自店を選んでもらえる可能性が高くなります。
一見独自の強みを打ち出すことは難しそうですが、
お店にとって何気ないことがお客さんからは大きな強みに見えていることもあります。
お客さんの意見も参考にして、ぜひお店独自の強みを見つけてみてください。