ペルソナとターゲットの違いを知らないとマーケティングはできない

Webマーケティングでは「ターゲット」と「ぺルソナ」の設定が非常に重要な意味を
持ちますが、その違いをハッキリと理解しているケースは意外と多くありません。

ではWebマーケティングにおけるターゲットとペルソナの違いや
それぞれの設定方法などについて詳しく見ていきましょう。

ターゲットとペルソナの違い

「ターゲット」も「ペルソナ」もWebマーケティングの対象であり、
同じようなものとして認識されているケースが多いです。

しかしターゲットとペルソナには明確な違いがあります。

まずターゲットはWebマーケティングにおいては「想定顧客層」を意味しており、
 ・年齢
 ・性別
 ・地域
などの属性や条件によって分類される集団のことです。

例えば女性用化粧品の想定顧客層はもちろん女性で、用途やコンセプトから
20代女性や40代以上の女性といったようにターゲットが設定されます。

ペルソナはラテン語で仮面を意味し、心理学用語では人間の外的人格を示す言葉です。

Webマーケティングにおけるペルソナは、
「製品やサービスを購入・利用する人物像」を指します。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%8A)

先の女性用化粧品で20代女性がターゲットだとすると、
 ・23歳女性
 ・新卒1年目
 ・都内の大手商社に勤務
 ・有名私立大学卒業
 ・九州地方出身で大学進学を機に上京
 ・独身で2年間彼氏が居ない
 ・趣味はキャンプ
 ・悩みは早起きが苦手
 ・SNSはInstagramメインでXはあまり使わない
 ・YouTubeのショート動画やtiktokをよく見る
がペルソナとなります。

ターゲットである20代女性ですが、
自社の製品やサービスを利用するであろうより具体的な人物像がペルソナなのです。

実在するか否か

ターゲットとペルソナの違いにはもう1つ「実在するか否か」があります。

ターゲットは想定顧客層ではあるものの実在する集団でなければならず、
ペルソナはより具体的な人物像ではあるものの実在する必要はありません。

先の女性用化粧品の例で見ると、20代女性は当然ですが実在します。

実際にターゲットを設定する場合はもう少し条件を絞って、
 ・女性
 ・20代
 ・都内在住
 ・会社員
となりますが、この条件に当てはまる人も当然存在することになります。

対してペルソナの
 ・23歳女性
 ・新卒1年目
 ・都内の大手商社に勤務
 ・有名私立大学卒業
 ・九州地方出身で大学進学を機に上京
 ・独身で2年間彼氏が居ない
 ・趣味はキャンプ
 ・悩みは早起きが苦手
 ・SNSはInstagramメインでXはあまり使わない
 ・YouTubeのショート動画やtiktokをよく見る
という人物は、実際に居るかもしれませんが居ないかもしれません。

Webマーケティングにおけるターゲットは、製品やサービスに関する情報を
実際に発信する対象となる集団ですから実在している必要があります。

実在しない集団に対して情報を発信しても誰にも届かないので、
実在している集団をターゲットとして設定するのです。

一方Webマーケティングにおけるペルソナは、
情報を発信する対象と言うよりもWebマーケティング施策を考える上での対象です。

自社の製品・サービスを利用する典型的な人物像というだけで、実際にペルソナに
合致する人に対して直接何かしらのアクションを起こすわけではありません。

直接何かのアクションを起こす対象ではないので、
ペルソナは実在の人物である必要がないというわけです。

ターゲットもペルソナも設定が必要

ターゲットを設定すればペルソナは不要、ペルソナを設定すればターゲットは
不要といったことはなく、Webマーケティングでは両方設定します。

ターゲットは実際に製品やサービスの情報を発信する対象ですから、
Webマーケティングを進める上では当然設定しておかなければいけません。

しかしターゲットだけでは対象がぼんやりしすぎていて、
具体的な施策を考える上では不十分です。

実際に「20代・女性・都内在住・会社員」という括りでは、
化粧品に対して求めることや効果的なアプローチ方法が見えにくいです。

そこで
 ・23歳女性
 ・新卒1年目
 ・都内の大手商社に勤務
 ・有名私立大学卒業
 ・九州地方出身で大学進学を機に上京
 ・独身で2年間彼氏が居ない
 ・趣味はキャンプ
 ・悩みは早起きが苦手
 ・SNSはInstagramメインでXはあまり使わない
 ・YouTubeのショート動画やtiktokをよく見る
というペルソナを設定することで、
化粧品に求められることや効果的なアプローチ方法が見えてきます。

キャンプ好きなので日焼け防止効果、早起きが苦手なので短時間でキレイに
仕上がるといったことが化粧品に求められることが分かります。

InstagramやYouTubeのショート動画、tiktokをよく利用しているので、
画像や短時間動画を使った情報発信が効果的だと分かるのです。

ターゲットだけだと効果的なマーケティング施策が見えにくいので、
ペルソナの設定も必要となるわけです。

ペルソナの設定で共通認識が持てる

Webマーケティングはチームで行うのが一般的で、
ペルソナを設定しておくとチーム内で共通認識が持てるようになります。

マーケティング施策を決める会議で「どうすればペルソナが自社製品に
興味を持ってくれるか」を中心に議論できます。

「ペルソナならこう考えそう」「ペルソナならこういう行動をしそう」など、
思考や行動のパターンがペルソナを設定しておくと見えやすくなるのです。

ぼんやりしたターゲットだと、ターゲットに対するイメージが人によって違うので
思考や行動のパターンが見えにくくなってしまいます。

思考や行動のパターンが見えにくいと、
チーム内の全員が納得するマーケティング施策が打ち出せません。

ペルソナを設定しておくとチームの人数が多くなっても意見がバラけることなく、
ぺルソナを中心にマーケティング施策を考えられるのです。

ターゲットの設定

ターゲットを設定するには、まず一定の基準を設けて、
その基準に沿って自社の顧客をグループ分けします。

例えば
 ・性別(男性、女性)
 ・年齢(20代、30代、40代など)
 ・住所(都内在住、地方在住など)
 ・職業(学生、会社員など)
 ・家族構成(独身、既婚、子供の有無)
などの基準を設けて、顧客をグループ分けするのです。

グループ分けした中から、Webマーケティングを行う製品やサービスの対象となる
集団をピックアップしてターゲットとして設定します。

ターゲットは変更できないものではありませんから、
マーケティングに対する反応や製品・サービスの売上など状況によって変更しましょう。

ペルソナの設定

ペルソナを設定する際には、
まず先に設定したターゲットに関するデータを集めるところから始まります。

顧客の購買履歴やアンケート回答などのデータがあれば、
その中から顧客として典型的と思えるデータをピックアップしていきます。

顧客データが無いあるいは少ない場合は、アンケートやインタビューを実施したり、
公開されている他社のデータを参考にしたりしてください。

次にピックアップしたデータを使ってペルソナ設定に必要な項目を埋めていきます。

ペルソナ設定に必要な項目の例としては
 ・性別
 ・年齢
 ・住所
 ・職業
 ・収入
 ・既婚、未婚
 ・家族構成
 ・利用SNS、端末
 ・趣味や休日の過ごし方
 ・性格や考え方、お金の使い方
 ・製品やサービスに対するニーズ
 ・悩み
などです。

ピックアップしたデータだけで必要項目が埋められない場合は、
埋められない項目に関するアンケートやインタビューを改めて実施しましょう。

必要項目が全て埋まったら、営業や販売などの担当者に実際の顧客と
イメージの乖離がないか確認してもらってペルソナ完成です。

ペルソナは理想的な顧客ではない

ペルソナを設定する際に注意しないといけないのは、
「企業側にとって都合の良い人物像にならないこと」です。

ペルソナはあくまで典型的な顧客であって理想的な顧客ではありません。

理想的な顧客は自社の製品・サービスに対して文句を言いませんし、
積極的にアプローチしなくても利用してくれます。

しかし実際の顧客は企業側にとって耳の痛いことも言いますし、
積極的にアプローチしないことには利用してくれません。

ペルソナを理想的な顧客にすると、製品・サービスを利用してもらうために
最適なアプローチ方法が見えなくなってしまいます。

理想的な顧客は都合の良い顧客であり、
こうした顧客をペルソナに設定すると適切なマーケティング施策が行えません。

まとめ

ターゲットは想定顧客層で実在する集団、ペルソナは製品・サービスを利用する
人物像で実在しなくても構わないという違いがあります。

ターゲットやペルソナの設定には正解は無く、同じコンセプトの製品・サービスでも
企業によってターゲットやペルソナが違うこともあるのです。

それぞれに役割が違いますから、最適で効果的なWebマーケティング施策を
行うのであればターゲットとペルソナの両方を設定しておきましょう。