デモグラフィックだけでなくペルソナ設定にはサイコグラフィックも必要

マーケティングには「ペルソナ」の設定が重要ですが、ペルソナを設定するには
「デモグラフィック」と「サイコグラフィック」を分析しなければいけません。

ではそもそもペルソナとは何なのか、その設定に関わるデモグラフィックと
サイコグラフィックとは何なのかについて詳しく見ていきましょう。

ペルソナはターゲットとなる象徴的な人物像

「ペルソナ」はマーケティングにおけるターゲットとなる象徴的な人物像のことです。

自社の製品やサービスは老若男女に利用してもらいたいですが、
メインとなるターゲット層が必ずあります。

例えば「10代後半から20代前半の女性」や「30代以上の男性」などといった具合です。

ただ10代後半から20代前半の女性と言っても、働いているのか学生なのかで
考え方や抱えている悩みが違いますし、自由に使えるお金の額も変わります。

同じ10代後半から20代前半の女性でも
 ・21歳
 ・就活中の大学生
 ・都内で一人暮らし
 ・両親は健在、東京で働く兄と地元の高校に通う妹が居る
 ・1年前に別れてから彼氏は居ない
 ・K-POPアイドルにハマっていて、卒業旅行は韓国に決めている
 ・最近は寝不足と化粧ノリが悪いことが悩み
など架空ではあるもののより具体的な人物像がペルソナです。

人物像を絞り込むことで、考え方や悩み、使えるお金の額などもある程度見えてきます。

考え方などが分かれば自社の製品やサービスにどうしたら興味を持ってもらえるかも
見えてくるので、宣伝方法やアプローチの仕方も見えてくるというわけです。

ペルソナ設定に必要な2つのデータとは

ペルソナを設定するには「デモグラフィック」と「サイコグラフィック」という2つのデータが
必要です。

まずデモグラフィックは「事実関係を表す定量的な属性情報」となります。

簡単に言うと
 ・年齢
 ・性別
 ・職業
 ・居住地
 ・家族構成
 ・収入
 ・既婚、未婚
などのデータのことです。

先の例だと
 ・21歳
 ・女性
 ・大学生
 ・一人暮らし
 ・両親と兄、妹の5人家族
といったことがデモグラフィックとなります。

そもそもデモグラフィックには人口統計学という意味があり、表面的な属性を表す
データで「誰が購入、利用するのか」を示すのがデモグラフィックなのです。

サイコグラフィックとは

ペルソナ設定に必要なもう1つのデータ「サイコグラフィック」は心理的な特性、要素の
ことを指します。

例えば
 ・性格
 ・ライフスタイル
 ・趣味、嗜好
などがサイコグラフィックに当たります。

先の例で言うと
 ・1年前に別れてから彼氏は居ない
 ・K-POPにハマっている
 ・寝不足と化粧ノリが悪いのが悩み
がサイコグラフィックとなるのです。

人の内面を表すパーソナリティなデータであり、
自社の製品やサービスを「なぜ購入、利用するのか」を示すデータです。

製品やサービスのマーケティングにおいては「誰がなぜ購入、利用するのか」を
理解することが重要となります。

「誰がなぜ」が分からないと宣伝方法やアプローチの仕方が見えませんから、
より効果的なアピールができないのです。

「誰がなぜ」を理解するにはペルソナの設定が必要で、ペルソナの設定には
デモグラフィックとサイコグラフィックが欠かせないというわけです。

デモグラフィックデータの収集

表面的な属性を表すデモグラフィックデータの収集は
 ・アンケート調査
 ・アナリティクス
などを使って行います。

既存客などに対するアンケートに
 ・性別
 ・年齢
 ・居住地(都道府県単位)
 ・職業
 ・最終学歴
 ・結婚歴
を質問項目に入れておけばOKです。

完全に網羅することは難しいですが、
既存客の大体のデモグラフィックデータを収集することができます。

サイコグラフィックデータの収集

人の内面的な部分のサイコグラフィックデータの収集にも
アンケート調査やアナリティクスを使います。

アンケート調査では
 ・趣味
 ・最近興味があること
 ・最近悩んでいること
 ・個人的な目標
など内面に踏み込んだ質問項目を設けるのです。

公式サイトや販売サイトを運営しているなら、「Googleアナリティクス」などの
分析ツールを使うことでもデモグラフィックデータが収集可能です。

分析ツールを使うとアンケートで収集できるデータに加えて
 ・どういった経路でサイトにアクセスしたか(検索、外部リンクなど)
 ・最初にどのページにアクセスしたか
 ・サイト内で一番閲覧数の多いページ
 ・サイト内で離脱されるのが多いページ
などのサイコグラフィックデータが収集できます。

アンケートだと人によっては多少着飾った回答をすることもありますが、
ネットサイト内での行動は100%ユーザーの意思によるものです。

アンケート調査よりもアナリティクスの方が、
ユーザーのより素に近い内面データが収集できます。

ペルソナの設定の仕方

ペルソナを設定するには、自社の製品・サービスのメインターゲットとなる人の
 ・性別
 ・年齢
 ・職業
 ・収入
 ・家族構成
 ・居住地
 ・学歴
を考えます。

例えば化粧品会社がペルソナを設定するのであれば、
「性別」は女性となる可能性が高いです。

「年齢」は製品によって変わりますが、派手目な色のリップだと10代から20代、
日焼け止めとしても使えるオールインワン美容液なら30代以上といった具合です。

「職業」は内勤の多い事務系や立ち仕事の多い販売系、
外回りの多い営業系など自社の製品を必要とする職業の人を想像します。

「収入」は先の年齢や職業からある程度決まるので、
10代で1000万円以上などといった極端な設定にはなりません。

「家族構成」は既婚か未婚か、既婚なら子供は居るか、
未婚なら一人暮らしか親と同居かといったように同居している家族の数を考えます。

「居住地」は自社の店舗がある地域が基本で、全国展開しているなら東京や大阪、
福岡といった大都市部を居住地として設定するのが一般的です。

「学歴」によって物に対する価値観やお金に対する考え方などが違ってきますから、
ペルソナ設定では学歴の項目も意外と重要です。

例としてオールインワン美容液のペルソナを設定するなら
 ・年齢 36歳
 ・性別 女性
 ・職業 保険外交員
 ・収入 年収400万円
 ・家族構成 夫と8歳の息子、4歳の娘
 ・居住地 東京都内
 ・学歴 都内の有名私大卒
といった感じになります。

サイコグラフィックで内面的要素を加える

デモグラフィックでペルソナに表面的なデータを設定したら、
次はサイコグラフィックで内面的データを加えていきます。

ペルソナ設定では
 ・ライフスタイル
 ・考え方、行動の傾向
 ・悩みやストレス
 ・願望
といったサイコグラフィックデータを付け加えるのです。

「ライフスタイル」は仕事優先かプライベート優先か、
夫や子供に対する接し方などを考えます。

「考え方、行動の傾向」は、感情的か冷静かなど仕事やプライベートに対して
どういった考え方を持って行動しているかということです。

「悩みやストレス」には、
現状で抱えている悩みやストレスはもちろん将来的な不安も含まれます。

「願望」は最終的に個人としてこうなっていたい、
家族としてこういう風になりたいなどといったことです。

先の36歳女性であれば
 ・ライフスタイル やや仕事優先だが妻・母として夫や子供にはちゃんと接している
 ・考え方、行動の傾向 仕事ではいつも冷静だが家族のことでは感情的になることも
 ・悩みやストレス 仕事と子育てに時間を取られるので肌ケアが疎かになっている
夫と2人の時間があまり取れないのもストレス
 ・願望 仕事では独立して保険代理店を開きたい
プライベートでは子供を立派に育て上げて孫の顔が見たい
といった感じになります。

ペルソナ設定で注意すべきこと

ペルソナを設定する上でもっとも注意すべきことは
「自社に都合の良い人物にしない」ことです。

やってしまいがちなのが、
「自社にとって理想的な人物像」をペルソナとして設定してしまうことです。

自社にとって理想的なペルソナを設定してしまうと、
実際の顧客の人物像とは大きくかけ離れてズレが生じてしまいます。

ペルソナと顧客の実像が離れすぎていると、
どんな宣伝やアプローチをしても効果的とはなりません。

ペルソナは自社に都合の良い人物像ではなく、あくまで「自社の製品・サービスを
利用する象徴的な人物像」でなければいけないのです。

自社に都合の良いペルソナにしないためには、デモグラフィックデータや
サイコグラフィックデータの収集・分析を慎重に行わないといけません。

新規客目線も取り入れる

ペルソナを設定するのに使うデモグラフィックやサイコグラフィックのデータは
既存客から収集することが多いです。

既存客からデータを収集するとどうしても既存客に寄せてしまいがちですが、
ペルソナ設定では新規客や見込客の目線も取り入れる必要があります。

既存客を囲い込むことで業績は安定するものの、
新規客や見込み客を取り込まないと大きな成長は期待できません。

新規客や見込み客の目線を取り入れるには、
現在メインとなっていない客層へのアンケートやアナリティクスが重要となります。

ペルソナは柔軟に見直す

ペルソナは絶対的なものではありませんから、
設定から一定期間が経過すれば柔軟に見直すことも必要です。

最初のペルソナが上手く設定できていないこともありますし、
上手く設定できていても時間の経過に伴って顧客の実像とズレが生じることもあります。

流行や時代の流れで人の趣味・嗜好も変わりますから、
定期的にペルソナは見直したほうが良いのです。

ペルソナの見直しをするには、ペルソナ設定後もアンケートやアナリティクスを使った
データ収集を続けなければいけません。

まとめ

マーケティングにはペルソナの設定が重要です。

ペルソナを設定するにはデモグラフィック・サイコグラフィックといった顧客データが
必要で、その収集にはアンケートやアナリティクスなどを活用します。

現状でマーケティングが上手くいっていないと感じるなら、
ペルソナの設定や見直しを行ってみてください。