提案を断る理由を言ったほうがよいのは将来のパートナーシップを守るため

ビジネスで取引先などからの提案を断る際には「断る理由」を
言ったほうがよいのですが、それは「将来のパートナーシップ」を壊さないためです。

では、提案を断る理由を先方に伝えることが将来のパートナーシップを守ることに
繋がるとはどういうことなのか具体的に見ていきましょう。

理由が分かれば断られたことに納得がいく

取引先などからの提案を断る際に理由を言ったほうがよいのは、
提案した側の納得を引き出すためです。

自分が提案する側になって考えると分かりますが、
理由も無く提案を断られると断られたことに対して納得がいきません。

提案する側は現状で考えうるベストに近い案を出してきています。

現状で考えうるベストに近い提案を理由も無く断られると、
「何がダメだったのか」「どうしてダメだったのか」が分かりません。

採用されるための改善点が分からないので、
今後同じ様な機会があっても提案すること自体を諦めてしまうことになってしまうのです。

提案すること自体を諦められるとその人や会社との付き合いはそこで終わってしまい、
将来的にパートナーシップを築くことができなくなってしまいます。

断る理由を伝えることで、
先方は「何がダメだったのか」「どうしてダメだったのか」が理解できます。

次回同じような機会があれば、
今回断られたことを教訓として改善した提案をしてくれる可能性があるのです。

提案をしてくれれば先方との関係は続きますから、
将来のパートナーシップを築くことにも繋がるわけです。

断る理由を明確にすることで誤解を防ぐ

提案を断る理由を明確にすることは、提案した側に誤解されるのを防ぐことにもなります。

理由が分からないと、断られた側は「自分の提案に問題があるのではなく
何かしら裏があるのではないか」と考えます。

同様に提案した他の人や会社に対する忖度、あるいは単に嫌われているなど
感情的な問題なのではとあらぬ勘ぐりをされてしまうのです。

忖度や感情的なことで提案を断るところとは付き合わないとなって、
将来のパートナーシップを手放してしまうことになります。

断る理由を明確にすることで誤解を防ぎ、
先方のあらぬ勘ぐりによって関係が終わることを防ぐわけです。

断る理由には自責性を持たせる

提案を断ることを先方に伝える際には、その理由に自責性を持たせた方がよいです。

提案の内容がこちらの求めるものにあまり合致していないなど、
提案した側に問題があって断るケースも少なくありません。

提案内容が悪いとしても、
こちら側に責任があって断ると伝えることで先方との関係を保てるのです。

例えば「予算の都合でご提案いただいた内容を実現することが難しい」や
「私の力不足で上司を説得できず」などといった感じです。

あくまでも断った責任はこちら側にあるとして、
先方の機嫌を損なわずに関係を保つようにしましょう。

「自分は悪くない断り方」は相手によくない印象を与える

ビジネスで相手の提案を断ったり、プライベートで相手の誘いを断る時に
やってしまいがちなのが「自分は悪くない断り方」です。

要するに「自分以外のことが原因で提案や約束を断らざるをえない」というニュアンスを
先方に伝える断り方のことです。

例えば提案を断る理由を「上司の賛同が得られなかった」とすると、
自分ではなく上司に提案を断った責任を押し付けています。

断られた先方にすると「賛同を得られるようにプッシュしてくれても良かったのでは」と
上司とともに断りを入れた本人に対しても不満を覚えてしまいます。

「上司の賛同が得られなかった」ことを理由にするなら、
前に「私の力不足で」と付け加えるのです。

「私の力不足で」が付いているだけで断られた方は「頑張ってプッシュしてくれたの
だろう」と好意的に解釈して断られたことに対する不満が少し和らぎます。

何事も他人に押し付けると印象がよくありませんから、
提案を断る理由は自分に責任が及ぶものにしておきましょう。

将来のパートナーシップを壊さない提案の断り方

提案を断る際には、
先方に断っていることがハッキリと伝わるようにしなければいけません。

関係を壊したくないからと曖昧な表現や中途半端な言い方では、
先方に余計な期待を持たせたり混乱を与えてしまいます。

直接面と向かってはもちろん電話でもメールでも、
提案を断るというネガティブなことを先方に伝えるのは簡単ではありません。

しかしそこを曖昧にすると先方の信用を失うことになるので、
提案を断る時には断っていることがハッキリ伝わるようにしないといけないのです。

提案に対する感謝を伝える

提案を断るとしても、先方が提案してくれたことに対する感謝を伝えることが重要です。

ビジネスの場合は、会議や検討、提案書の作成など実際に提案するまでに
かなりの時間を使っています。

自分に提案するために貴重な時間を使ってくれたことに対して
感謝しなければいけません。

例えば「平素よりお世話になっております。この度は○○についてご提案いただき
ありがとうございます。」と冒頭で感謝の言葉を伝えます。

感謝の言葉の後に「大変ありがたいご提案ではあったのですが・・・」と続けて
断る意思を伝えることで角が立ちにくくなります。

「今回は」で次回に繋げる

先方に提案を断ることを伝える際には、「今回は」という言葉を使って断るのは
あくまで今回に限りのことであると伝えるのがベターです。

例えば
 ・大変ありがたいご提案ですが、採用を見送ることとなりました。
 ・大変ありがたいご提案ですが、今回は採用を見送ることとなりました。
では受け取る側のニュアンスが若干変わります。

「今回は」という言葉を入れるだけで、「次回は採用するかもしれない」と
先方が読み取ってくれる可能性があるのです。

次回以降に採用の期待を持ってもらえれば、
今回は断ったけれども提案した側との関係が壊れずに済みます。

提案を断ったことを詫びる

感謝を伝えようと次回に期待を持たせようと、今
回は提案を断っているわけですからちゃんと謝罪の意思も伝えないといけません。

例えば
 ・せっかくご提案いただいのに、ご期待に沿えず申し訳ありません
 ・断る形となってしまい申し訳ございません
といった感じです。

謝罪の言葉が入るだけで先方に配慮していることやこちらの誠意が伝わります。

配慮や誠意が先方に伝われば、提案を断っても関係が壊れることはなく
将来のパートナーシップを守ることができるわけです。

次に繋がる言葉を入れる

提案を断る時には、最後に「次に繋がる言葉」を入れることも忘れてはいけません。

例えば
 ・またの機会がありましたらよろしくお願いいたします。
 ・次の機会にもまたお声がけいただけると幸いです。
などといった文章を最後に入れるのです。

「次の機会」がハッキリしているのであれば、「9月頃に同様のご提案を受ける機会が
ございますので」と具体的な時期を提示しておきましょう。

「またの機会」とか「次の機会」では、
「どうせ次の機会なんて無いでしょ」と思われてしまう恐れがあります。

具体的な時期を示すことで、
先方も準備がしやすいですし次は採用されるかもしれないと希望が持てます。

時期がハッキリ決まっていなければ「時期は決まっていませんが、またご提案を受ける
機会がありますので」など次の機会が確実にあることだけは伝えるようにしましょう。

提案を断る時の例文

先に紹介した提案の断り方を押さえた例文を紹介しておきます。

「大変お世話になっております。○○です。

先日はXXについてご提案いただきありがとうございます。

弊社内で話し合いを重ねて、ご提案について慎重に検討いたしました。

検討いたしました結果、大変ありがたいご提案ではありましたが
予算の都合上実現が難しいため今回は採用を見送ることとなりました。

大変申し訳ございません。

年明け(1月下旬頃)に同様のご提案を受ける機会がございますので、
よろしければお声がけいただけると幸いです。

今回はご期待に沿えない結果となってしまいましたが、
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。」

もちろん100点満点ではありませんが、
断り方のポイントを押さえると大体上記「」内のような文章となります。

直接対面で伝える場合と電話やメールで伝える場合で、
多少ニュアンスや言葉遣いを変えた方がよいかもしれません。

他の人や会社とパートナーシップを構築するメリット

他の人や会社とパートナーシップを構築することにはいくつかのメリットがあり、
その1つが「ビジネスにおける新しいアイデアが生まれやすくなること」です。

人も会社も「育ってきた環境」が違っており、
モノの見方や感じ方、考え方そのものが違います。

自社のビジネスを違う視点や考え方から見ることで、
新しいサービスや技術、情報が生まれる可能性が出てくるのです。

「新しい風を吹き込むこと」はビジネスにおいて重要ですが、
決して簡単なことではありません。

しかし他の人や会社とパートナーシップを構築することで、
自社のビジネスに新しい風を吹き込むことがそれほど難しくなくなります。

人脈やコネの幅が広がる

他の人や会社とパートナーシップを構築することで生まれるメリットの1つが
「人脈やコネが幅広くなること」です。

自社のみでは属する業界とは繋がりが深くなるものの、
別の業界の人や会社と繋がる機会がそれほど多くありません。

別の業界と繋がりが無いと新しい分野へ進出することが難しく、
ビジネスチャンスを逃すことにもなりかねないのです。

他の人や会社とパートナーシップを構築すれば、
パートナーシップを構築した人や会社が持つ人脈やコネも利用できます。

これまで繋がりの無かった業界の人や会社と繋がれる可能性も大いにあり、
新しい分野に進出することのハードルが少し低くなります。

まとめ

提案を断られることは先方にとってネガティブなことですが、
断る理由をハッキリさせておけば自社と先方との関係が崩れることはありません。

人や会社との繋がりはちょっとしたことで崩れますから、
提案の断り方にも十二分に注意しなければいけません。