Webデザイン制作で「ターゲットをフィルタリングして、
選定したターゲットにマッチングしたものを作ってほしい」などと言われることがあります。
ではターゲットをフィルタリングするとは、
ターゲットにマッチングするとはどういうことなのか詳しく見ていきましょう。
Web制作においてターゲットの選定は非常に重要
Web制作において「ターゲットを選定すること」は非常に重要で、
Webデザインを作る際の足掛かりと言えるものです。
「とにかく何でも良いから、多くの人に見てもらえるWebデザインを作って」と言われても、
どんなデザインを作ればよいのか皆目見当がつきません。
「10代後半から20代半ばの女性を対象としたキャンペーン」と言われると
何となくですがデザインの方向性が見えてきます。
「ニキビや肌荒れに効果がある化粧水の発売」といった情報が加わると
さらにデザインの方向性が絞れるのです。
「多くの人」から「10代後半から20代半ばの女性」、
さらに「ニキビや肌荒れに悩んでいる」とターゲットが絞られました。
これがターゲットをフィルタリングすることであり、
簡単に言うと条件を付けてターゲットを絞ることを指すのです。
フィルタリングしたターゲットにマッチングしたコンテンツ
ターゲットをフィルタリングすると、ターゲットが「求めていること」が見えてきます。
先の例で言うと10代後半から20代半ばの女性がターゲットですから、
「カワイイ」や「ポップ」などがキーワードとして思い浮かびます。
ニキビや肌荒れに悩んでいるので、
肌トラブルの症状と症状の改善が期待できることを情報として掲載するのです。
ターゲットをフィルタリングすることで求めていることが見えてくるので、
Webデザインにマッチングしたコンテンツを見つけやすくなります。
Web制作がスムーズに進められる
デザインは一人で作ることもありますが、
Web制作全体は複数人で行うのが一般的です。
複数人で1つの作業を行う場合には、「意思の疎通」ができてないと細かい部分まで
意見交換しなければならないので作業効率が悪くなりやすいです。
ターゲットをフィルタリングしておくことでWeb制作の方向性がある程度決まりますから、
細かい意見交換をせずともスタッフ間の意思の疎通が取れます。
意思の疎通が取れれば作業を進める中で他のスタッフに意見を求める必要が
無くなるので、Web制作がスムーズに進むというわけです。
ターゲットをフィルタリングする方法
ターゲットをフィルタリングするには、
企業の場合は顧客や見込み客がどういった層なのかを考えます。
化粧品メーカーであればメインとなる顧客や見込み客は「女性」で、
最近は美容男子も無視できないのですが「男性」はサブターゲットです。
年齢層は化粧品にある程度お金がかけられる20代後半から30代がメインで、
10代後半から20代半ば、40代以降はサブターゲットとなります。
主婦や学生といった比較的時間に余裕のある層よりも時間的余裕が少なくて
外出する機会の多い「働く女性」がメインです。
ターゲットをフィルタリングした結果、「20代後半から30代の働く女性」にマッチングした
デザインのWeb制作を行うことになるのです。
まずは全体的な顧客や見込み客でフィルタリングして、さらに細かい条件を加えて
フィルタリングすることでメインとなるターゲット層が見つかります。
より具体的なペルソナを設定する
Web制作においてターゲットをフィルタリングする際には、
より具体的な「ペルソナ」まで絞り込むケースもあります。
ペルソナは、
架空ではあるものの商品やサービスを利用する具体的な人物像のことです。
先の「20代後半から30代の働く女性」ではまだ漠然としているので、
・29歳
・IT企業の営業職
・地元から上京して現在は東京で一人暮らし
・有名私立大学卒業
・海外留学経験あり
・1年前から付き合っている恋人が居る
・趣味は食べ歩き
・高校まで本格的にサッカーをしていたが大学進学以降はほとんど運動できていない
・コスメやK-POPなど韓国文化に興味を持っている
などといったように架空ではあるものの具体的なペルソナを想定します。
20代後半から30代の働く女性よりも、ペルソナの方が抱えている悩みや問題点、
興味のあること、求めていることが明確になります。
求めていることなどが明確になれば、
デザインの要素やサイトに盛り込むべきコンテンツもより明確になるのです。
興味のある要素と必要なコンテンツを盛り込むと、
ペルソナと似た境遇の女性に強い訴求力のあるWebサイトとなるわけです。
実在の有名人をペルソナにするケースもある
ペルソナを設定する場合は上記のように細かく条件で人物像を絞り込むのが
一般的ですが、実在の有名人をペルソナとするケースもあります。
例えばキッチングッズを作っている会社が自社サイトをリニューアルする際に、
実在の料理研究家をペルソナにするといったようなことです。
実在の人物であれば年齢や性別、職業は自動的に決まりますし、
家族構成や経歴なども決まります。
ネットやSNSを駆使すれば現在進行形の抱えている悩みや問題、興味のあること、
趣味嗜好なども調べられます。
場合によっては直接取材をして情報を提供してもらうことも可能です。
これから制作するWebサイトのペルソナにピッタリな人物を見つけることは
簡単ではありません。
しかし見つかれば属性などフィルタリング条件は自然決まりますから、
実在の人物をペルソナのも1つの方法です。
ターゲットをフィルタリングしにくい場合はペルソナを設定しなくて良い?
Webサイトで取り扱う商品やサービスによっては、ターゲットをフィルタリングして
より具体的なペルソナを設定することが難しいケースもあります。
例えば旅行会社や鉄道会社・バス会社・航空会社などはターゲットのフィルタリングが
しにくいです。
こうした会社はターゲットをフィルタリングしてより具体的なペルソナを設定すると、
かえって宣伝効果が低くなってしまう恐れがあるのです。
ではターゲットをフィルタリングしにくい場合にはペルソナを設定しなくて良いのか
と言うと、答えはNOです。
誰にでもマッチングするようにとターゲットをフィルタリングしないと、
誰にもマッチングしないWebサイトになってしまうのです。
顔の無いペルソナを設定する
ターゲットをフィルタリングしにくい場合には「顔の無いペルソナ」を設定しましょう。
一般的にペルソナは架空ではあるものの具体的な人物像ですが、
顔の無いペルソナでは人物の要素を外します。
もう少し分かりやすく言うと、年齢や性別、職業といった要素を外して抱えている悩みや
問題、求めていること、興味のあることでフィルタリングするのです。
例えば旅行であれば
・現実から解放されてリラックスしたい
・観光スポットなどを楽しみたい
・旅行先で地元の人と触れあいたい
・一緒に旅行して関係を深めたい
・見聞を広めたい
などが求められます。
旅行に対する課題としては
・時間的余裕が無い
・経済的余裕が無い
・就学前の小さい子供が居る
・ペットを飼っている
などが挙げられます。
ペルソナは複数でも構いませんから、悩みや問題、求めていること、興味のあることを
組み合わせていくつかのペルソナを設定するのです。
ターゲットのフィルタリングでやってはいけないこと
ターゲットをフィルタリングする際にやってはいけないこととして
「主観や思い込みに頼ること」です。
例えば先の29歳女性のペルソナを設定する際に、
・29歳だから少し結婚を焦っているはず
・早く子供が欲しいと思っているはず
・趣味が食べ歩きだからダイエットにも興味があるはず
・1年付き合っている恋人が居るから結婚を意識しているはず
・最近運動ができていないから体を動かしたいと思っているはず
などの主観や思い込みでペルソナの人物像を作り上げるのは危険です。
最近は結婚適齢期という言葉もほとんど使われなくなっていますし、
結婚しない・子供を作らないライフスタイルも浸透してきています。
食べることが好きでも体型を気にしていないこともあれば、
誰しもが体を動かしたいと思っているわけでもありません。
ターゲットをフィルタリングする際にステレオタイプの主観や思い込みに頼ると、
Web制作の方向性を誤る危険性が大きくなるのです。
理想的な条件でフィルタリングしない
ターゲットをフィルタリングするのに「理想的な条件」を用いないことも重要です。
ペルソナはあくまで自社の商品やサービスを利用している「典型的な人物像」であって、
自社にとって「理想的な人物」ではありません。
理想的な人物をペルソナとして設定してしまうと、実際の顧客や見込み客のニーズに
マッチングしたWebデザインにならない可能性が高くなります。
自社の商品やサービスを利用するのはどういう人なのか、実際にどういった悩みや
不満を抱えているのか、求めていることは何なのかをしっかりと調査しましょう。
フィルタリングで絞り込みすぎない
ターゲットをフィルタリングするのに、個人が特定できるほどに絞り込むのはNGです。
ペルソナを設定する際の項目は
・基本情報(年齢、性別、居住地)
・家族構成、人間関係
・職種、年収
・趣味、関心事
程度に留めるのが一般的です。
これ以上細かく条件を設定してフィルタリングするとアプローチする層が狭くなり、
本来のターゲットである層を取りこぼす恐れが出てきます。
ターゲットはある程度絞り込む必要がありますが、
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」で絞り込みすぎるのは良くありません。
まとめ
Webデザインを作る際にはターゲットをフィルタリングすることは重要です。
ターゲットをフィルタリングしてペルソナを設定しておけば、
ある程度デザインの方向性が見えてきます。
顧客や見込み客のニーズにマッチングしたWebデザインを作るのであれば、
ターゲットのフィルタリングは欠かせません。