デザインのセンスが悪いとは「知識」や「経験」が足りないこと

Webサイト制作で「デザインのセンスが良い」とか「悪い」といったことをよく耳にしますが、
デザインセンスの良し悪しは「知識」と「経験」に関係しています。

一般的には知識や経験を凌駕するのがセンスというイメージですが、
デザインセンスの良し悪しが知識と経験に関わるとはどういうことなのでしょうか?

デザインセンスは引き出しの多さ

「センス」という言葉はよく使われるものの、ハッキリとした意味は分かっていなくて
漠然と「感覚的なもの」と捉えているケースが多いはずです。

広辞苑ではセンスを「感受性、感覚によって呼び起され、それによって支配される
感覚的欲望。理性、意思によって制御されるべき感覚的欲望。」と説明しています。

もう1つ「思惟の素材となる感覚的認識」とも広辞苑ではセンスを定義しています。

デザインセンスはどちらかと言うと2つ目の「思惟の素材となる感覚的認識」に
当てはまります。

思惟はいわゆる考えることで、考えることの材料となる認識すなわちこれまでに
培ってきた知識や経験ということです。

例えば衣服を収納しているタンスやクローゼットの引き出しを想像すると
分かりやすいです。

夏物に冬物、春秋物、アウター、インナーetcと色んな種類の衣服が引き出しに
入っていると、季節や気候、天気に合わせて「何を着ようか?」と考える材料になります。

反対に決まった衣服しか入っていなければ、気候や天気に関わらず着る衣服が
決まってしまうので「何を着ようか?」と考えることができません。

Webサイト制作におけるデザインセンスは、Webデザインを作る上で必要な
知識や経験がどれだけ頭の引き出しに入っているかなのです。

デザインセンスが良いとは?悪いとは?

デザインセンスの良し悪しは「目的に合ったものが作れるかどうか」で決まります。

遊びでWebサイトを作るならともかく、
コーポレートサイトなどビジネスにおけるWeb制作には必ず「目的」があります。

「知名度を上げたい」とか「イメージを良くしたい」、「顧客を増やしたい」、
「売上を伸ばしたい」などなどです。

知名度やイメージを上げるためのWebサイトと顧客や売上を増やすための
Webサイトでは当然デザインは変わってきます。

知名度アップの目的で作ったWebサイトで知名度アップが達成できないと、
そのサイト制作に関わった人は「センスがない、悪い」と言われてしまいます。

ファッションでも、いくらおしゃれな服装でもTPOに合っていないと
「センスが無い、悪い」と思われてしまいます。

インフォメーションアーキテクトでWebの構造設計の専門家である長谷川敦士氏も
「よいデザインとはよいエンジニアリングのことであり、問題解決である」と言っています。

エンジニアリングは工学のことですが、「最高の機能を発揮させるために
モノをどう組み合わせるか追求する技術」のことでもあります。

目的を達成するのに最高の機能を発揮できるモノの組み合わせに
辿り着けるかどうかがデザインセンスの良し悪しを決めるわけです。

最高のモノの組み合わせを追求するには、
Webサイトに使えるモノの種類を知っていることが重要となります。

最高のモノの組み合わせに辿り着くには豊富な知識や経験が必要で、
頭の中の引き出しの多さがセンスの良し悪しにも関わってくるのです。

ルールやマナーを知っておくことも重要

デザインセンスの良し悪しを決める上では、
最低限のルールやマナーを知っておくことも非常に重要です。

例えば高級レストランでフォークやナイフの使い方が分からずにまごまごしていると、
いくらカッコ良くておしゃれな人でもセンスが悪く見えてしまいます。

それと同じで、Webサイト制作においても最低限のルールやマナーを
押さえておくことがセンスの良いデザインを作ることに繋がるのです。

特に企業からの依頼では、クライアントである企業が属する業界でタブーや
縁起が悪いとされていることを知っておかないといけません。

もしタブーや縁起が悪いことをWebデザインに盛り込んでしまうと、
「センスが悪い」とクライアントの怒りを買ってしまうことになります。

仕事としてWebサイト制作に携わるのであれば、クライアントの情報を
押さえておくことがセンスの良いデザインを作るのに必要な最低条件です。

デザインセンスを磨くのに必要な知識とは

センスは知識と経験であり、
頭の中にたくさんの引き出しを持っていないとセンスの良いデザインは作れません。

ただ経験は実際にWebサイト制作に関わらないことには得られませんから、
一からデザインセンスを磨くには知識を蓄えることが重要です。

デザインセンスを磨くのに蓄えるべき知識としてまず挙げられるのが「造形」です。

造形は文字通り形あるものを作ることですが、
Webデザインでは色・形の組み合わせや全体的な構成を指します。

どういった色や形を組み合わせれば閲覧者に違和感や嫌悪感が抱かれずに
良い印象を強く与えられるのか。

全体の構成をどうすれば閲覧しやすいのか、
などといったことを知識として蓄えるわけです。

Webデザインにおける造形の知識を蓄えるには、
デザインが良いとされるWebサイトを実際に閲覧してみるのも1つの方法です。

実際に閲覧して何が良いのか、どこが良いのかを考えて
自分なりの結論を出すことが知識を蓄えることになります。

もしツテがあるのなら、実際にセンスが良いと言われるWebデザイナーの話を
聞くことも知識を蓄えるのに有益です。

表現力や技術を身に付ける

造形の知識を蓄えたら、
その造形の知識を生かせる表現力や技術を身に付けないといけません。

センスが良いとされるWebデザインを見て得た知識をそのままアウトプットすると
ただの模倣になってしまいます。

いくらセンスが良くても模倣では高い評価は得られませんから、
蓄えた知識を自分なりの表現でアウトプットする必要があるのです。

表現力を身に付けるのは非常に難しく、繰り返し実践するしかありません。

最初の内はセンスが良いWebデザインの模倣でも、
繰り返す内に「こうした方が良い」といった自分なりの改善点が見えてくるはずです。

自分なりの改善点をWebデザインに盛り込むことで、
ただの模倣から独自性のあるデザインに生まれかわるのです。

技術は、頭の中で描いたものを実際のWebデザインとして落とし込むことを指します。

デザイン担当で実際のサイト制作は他のクリエイターが行う場合は、
頭の中にあるデザインを忠実に制作担当者に伝える技術を身に付けないといけません。

絵で伝えるなら描写力、言葉で伝えるなら語彙力が必要です。

デザインから制作まで自分で行うのであれば、
画像編集ソフトやノーコードツールなどを使いこなすことが求められます。

入念な情報収集

デザインセンスを磨くには、
実際にWeb制作に関わる際にクライアントについての入念な情報収集も重要です。

クライアントから依頼を受けてWeb制作に関わる場合には、
クライアントの目的に合ったデザインを作らないといけません。

単に目的をクライアントから聞くだけでなく、
その目的を持つに至った背景や経緯まで聞いておくことが大切です。

目的を持つに至った背景や経緯という周辺情報を知っておくことで、
デザイン制作へのアプローチの仕方が変わります。

要するに単に目的に沿ったデザイン制作よりも、
周辺情報まで知った上での方が独自性を出しやすいということです。

最初の内は模倣でも構いませんが、
模倣ばかりだとデザイナーではなくモデラーになってしまいます。

モデラーからデザイナーになるには独自性のあるデザインが作れることが必要で、
独自性のあるデザインを作るには入念な情報収集が必要なのです。

最近はメールやLINEだけでクライアントとやり取りすることも増えていますが、
実際に顔を合わせて打ち合わせをすることが情報収集においてはベターです。

Webデザイナーにセンスは不要?

Webデザインについてネットで調べていると「Webデザイナーにセンスは不要」という
情報を見かけることがあります。

Webデザイナーにセンスが不要である論拠として「Webデザイナーに求められている
のはセンスではなくWebデザインの知識である」ことが1つ挙げられています。

確かにWebデザイナーに求められるのはWebデザインの知識ですが、
先にも書いたようにWebデザインにおけるセンスは知識や経験のことです。

Webデザイナーに知識が求められているということは、
センスが求められていることとイコールになります。

センスと知識を別物と考えるとWebデザイナーにセンスは不要ですが、
Webデザインではセンスは知識なのでWebデザイナーにセンスは必要なのです。

Webデザインは独自性を出すことも重要

Webデザイナーにセンスが不要な論拠として
「Webデザインは型に沿って作るものだから」というものがあります。

最近はあらかじめ用意されているテンプレートを使い、
一定のルールに沿って作られているWebサイトが多くなっています。

また駆け出しのWebデザイナーはセンスが良いとされるWebデザインを
模写することも多いので、センスは不要と考えられるわけです。

確かに他のWebサイトを模倣するだけでもWebデザインが作れますが、
模倣では何の特徴も無い「どこかで見たことがあるサイト」にしかなりません。

閲覧者にインパクトを与えて、クライアントが設定した目標が達成できる
Webサイトにするにはデザインに多少の独自性が必要です。

独自性を出すには知識や経験に基づいたセンスが必要で、
Webデザイナーにセンスが不要とは言えません。

まとめ

センスは頭の中の引き出しに収められている知識や経験のことであり、
センスの良し悪しは知識や経験の使い方や組み合わせ方の良し悪しを指します。

センスを磨くと言うと難しそうですが、
知識を増やす・経験を積むと言い換えるとそれほど難しくなさそうに感じます。

まずはセンスが良いとされるWebデザインをたくさん見て、
実際にWebデザインを作ってセンスを磨いてください。